東京圏から福岡県内の企業へ面接に行く。卒業後は荷物を運び、大牟田で新しい暮らしを始める。就職先と住まいを同時に決める時期には、交通費や引越し費用も小さくない負担になります。

大牟田市は2026年度から、一定の要件を満たす人へ、就職活動の交通費と市内への移転費を支給する「地方就職支援金」を始めています。

ただし、これは東京圏から大牟田へ移る人なら誰でも受け取れる移住補助ではありません。大学・大学院とキャンパスの所在地、在住地域、卒業年度、就職先、雇用条件、大牟田市で暮らす意思など、複数の要件をすべて満たす必要があります。

最初に、対象年度をご確認ください

2026年9月14日時点の市公式ページでは、令和7年度(2025年度)に東京都内に本部がある大学・大学院の東京圏内キャンパスに在学し、卒業・修了後に大牟田市へ移住して福岡県内の企業等へ就職した人が対象と案内されています。一方、要件欄には、交通費に限り卒業・修了見込みの在学中でも申請できる例外があります。現在在学中の人を含め、自分の卒業年度が対象になるかは自己判断せず、申請前に大牟田市広報課(移住・定住担当)へ確認してください。

支援されるのは、公共交通機関の交通費と移転の運送費

支援対象となる費用は、大きく二つです。どちらも上限額がそのまま支給される制度ではなく、実際に支払った対象経費をもとに支給額が決まります。

区分対象となる費用支給額
交通費 福岡県内の企業で行われる就職活動等に要した、往復の公共交通機関の経費 対象となる実費・1回限り・上限22,000円
移転費 大牟田市への移住に要した費用のうち、運送費 対象となる実費・1回限り・上限113,500円

交通費について就職先や内定先から支給を受けている場合は、実費から企業等の支給額を差し引いた額が支援対象になります。また、移転費の対象として公式に示されているのは運送費です。敷金、礼金、家賃、家具の購入費などまで対象になるとは案内されていません。

交通費、移転費とも、予算が上限に達した場合は年度途中でも申請受付を終了することがあります。要件に当てはまりそうでも、支給が確約されるわけではない点に注意が必要です。

青空の下にあるJR大牟田駅東口の駅舎と駅前のタクシー
JR大牟田駅東口(2026年3月撮影)。写真:Asturio Cantabrio / Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0。原画像を幅1400pxに縮小し、WebPに変換しています。この加工画像も同ライセンスで利用できます。

「福岡県内で働く」と「大牟田で暮らす」を一緒に考える制度

この制度で結び付けられているのは、福岡県内での就職と、大牟田市への移住です。就職先は原則として福岡県内にあり、大牟田市に転入して1年以上住み続ける意思があることなどが求められます。

ここからは、市公式情報をもとにした「おおむた、これから。編集部」の見方です。市が示した制度目的をそのまま転載したものではありません。

東京圏で学んだ人が地方就職を考えるとき、仕事だけでなく、住まいや移動、家族との距離まで一度に考えることになります。交通費や運送費の支援だけで移住の負担がすべてなくなるわけではありません。それでも、「現地へ行って企業を見る」「働く場所と暮らす場所を具体的に考える」という最初の動きを後押しする仕組みにはなりそうです。

大牟田にとっても、まちの外で学んだ人が地域で働き、暮らし始めることは、新しい経験やつながりが加わる入口になります。支援金を受け取ること自体を目的にするのではなく、自分が続けたい仕事と暮らしの条件を確認する機会として制度を使うことが大切です。

新大牟田駅の改札と発車案内表示、ホームへ続く階段とエスカレーター
九州新幹線・新大牟田駅の改札(2011年3月12日撮影)。写真:れお / Reo19950908、Wikimedia Commons、CC0 1.0。原画像を幅1400pxに縮小し、WebPに変換しています。

対象かどうかは、四つのまとまりで確認する

市の交付要綱でいう「大学等」は、大学または大学院を指します。公式ページでは、対象者の要件が「移住元」「移住先」「就業先・就業条件」「その他」に分けて示され、すべてに該当することが必要とされています。代表的な要件は次のとおりです。

  • 大学・大学院と在住地
    卒業・修了年度に、東京都内に本部がある大学・大学院の東京圏内キャンパスへ原則4年以上在学し、東京圏内のうち条件不利地域を除く区域に継続して住んでいたこと。
  • 大牟田への移住
    大牟田市へ移住し、原則として転入日などから1年以上、市内に住み続ける意思があること。
  • 就職先と時期
    原則として福岡県内が勤務地である企業等へ、大学等を卒業・修了してから1年以内に就職していること。
  • 雇用条件
    原則として週20時間以上の無期雇用契約で、福岡県内を中心に勤務し、東京圏への勤務を前提とした採用ではないこと。
  • 卒業後の申請時期
    申請時点で、卒業・修了日から1年以内、かつ就業開始日から1年以内であること。

官公庁等の扱い、親族が経営に関わる企業、条件不利地域、在留資格などにも個別の条件があります。上の項目だけで受給可否を判断せず、公式ページと交付要綱で全要件を確認してください。

在学中に申請できる例外は「交通費」に限られる

公式の要件では、交通費については、卒業・修了見込みの在学中でも申請できる場合があります。これは、移転費まで在学中に申請できるという意味ではありません。

在学中に交通費を申請する場合も、要件を満たす企業等から内定を得ていること、卒業後にその企業へ就職して大牟田市へ移住する意思があること、週20時間以上の無期雇用などの条件を満たす見込みであることが求められます。申請時期についても、就業開始予定日前1年以内という条件があります。

さらに、現在の公式ページ冒頭では令和7年度卒業・修了者が対象と明記されています。要件欄に在学中申請の記載があることだけを見て、別の卒業年度も対象だと判断することはできません。在学中の人は、予定している就職活動が対象になるか、費用を支払う前の段階で市へ相談してください。

領収書だけでは申請できない。住所と就職の確認書類も必要

申請には、交通費や移転費の領収書に加え、本人確認、以前の住所、大牟田市への転入、就職先と雇用条件などを確認する書類が必要です。

代表的なものとして、次の書類が公式ページに挙げられています。

  • 写真付き身分証明書の写し
  • 申請書、誓約書兼照会承諾書
  • 就業先が作成する就業証明書
  • 住民票の写しと、移住元の住所を確認できる資料
  • 交通費または移転費の領収書
  • 卒業・修了証明書
  • 在学中の交通費申請では、卒業学年であることを確認できる在学証明書
  • 交通費申請では、就職活動の日時や場所が分かる企業からの案内

必要書類は申請する費用や状況によって異なります。交通機関や引越し業者の領収書、企業から届いたメールなどは、確認が終わるまで保管しておきましょう。

検討から申請まで、先に確認したい四つの段階

次は、卒業・就職後に交通費と移転費を申請する場合の一例です。在学中に交通費を申請する人は順序が異なるため、最初の相談で確認してください。

  1. 自分の卒業年度と大学・大学院の要件を伝え、市へ相談する。
    在学中か卒業後か、大学・大学院の本部とキャンパスの所在地、東京圏での住所を整理します。
  2. 就職活動の交通手段と企業からの支給を確認する。
    対象となる公共交通機関か、企業から交通費が支給されるかを確認し、領収書と面接等の案内を残します。
  3. 内定後、雇用条件と大牟田での暮らしを照らし合わせる。
    勤務地、契約時間、雇用期間、大牟田への転入予定を確認します。
  4. 移転費の対象範囲と必要書類を確認して申請する。
    運送を依頼する前後に、見積書や領収書の扱いを市へ確認し、指定された書類をそろえます。
卒業後に申請する場合の一例として、市への事前相談から就職活動、就職と大牟田への移住、申請までの4段階と交通費・移転費の上限を示す図
卒業・就職後に申請する場合の一例を、編集部が整理した図です。在学中の交通費申請では順序が異なります。実際の申請順序、対象要件、卒業年度、予算状況は大牟田市へご確認ください。

条件を外れると、原則として全額返還が必要になる

支給後の条件も確認しておきたい点です。公式ページと交付要綱では、虚偽の申請をした場合のほか、在学中に交通費を申請した人が申請から1年以内に要件を満たす就職や大牟田市への転入をしなかった場合、就業開始後1年以内に対象となる就職先を辞めた場合、大牟田市への転入後1年以内に市外へ転出した場合などに、原則として支援金の全額返還が必要とされています。

退職後3か月以内に要件を満たす福岡県内の別の企業等へ就職する場合や、県と市が認めるやむを得ない事情がある場合などには例外があります。進路や住所が変わりそうなときは、自己判断で手続きを止めず、早めに広報課へ相談してください。

最初の一歩は、申請書を書くことではなく問い合わせること

自分が対象かもしれないと思ったら、最初に行いたいのは、大牟田市広報課(移住・定住担当)への問い合わせです。市公式ページにも、申請前に同担当へ問い合わせるよう明記されています。

問い合わせる前に、次の点をメモしておくと相談しやすくなります。

  • 卒業・修了年度と、現在在学中か卒業済みか
  • 大学・大学院の本部所在地、通っていたキャンパス、在学期間
  • 卒業年度に住んでいた市区町村
  • 就職活動を行った企業、日時、場所、交通手段
  • 内定先または就職先の勤務地と雇用条件
  • 大牟田市への転入日または転入予定日
  • 企業から受け取った交通費の有無

大牟田市広報課(移住・定住担当)
電話:0944-41-2505

卒業年度と就職先の見通しが立った段階で、まず一本問い合わせる。それが、この制度を正しく検討するための具体的な第一歩です。

就職だけでなく、自分で小さな仕事を始める可能性も考えている方は、「大牟田で創業したい。まず、どこに相談すればいい?」もあわせてご覧ください。

大牟田の出来事を、その先の仕事や挑戦まで含めて伝える本サイトの考え方は、「『ぎゃんよか!大牟田』から、『おおむた、これから。』へ。」で紹介しています。

確認した情報源

公開情報の確認日:2026年9月14日。制度内容、対象年度、予算状況、申請受付状況は変更される場合があります。「地域にとっての意味」や申請前の準備順は、公開情報をもとにした編集部独自の解釈・提案です。申請の可否は大牟田市が個別に審査します。最新情報は市公式ページと広報課(移住・定住担当)でご確認ください。本記事は大牟田市、福岡県、就職先企業等との提携、推薦、委託を示すものではありません。

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